鏡を見るたびに肌の状態が気になったり、抜け毛が増えたと感じたりして、悲しい気持ちを抱えていませんか。休日に休んでいるつもりでも、実は心や体が十分に休めていない可能性があります。
このような不調に対して「自分のケア不足だ」とご自身を責める必要はありません。それは限界を迎えていることを体が一生懸命に教えてくれているサインかもしれないからです。
本記事では、抜け毛や肌荒れの原因について、精神的な負担や栄養不足の観点から解説し、今日からご自宅でできる対策をお伝えします。
抜け毛や肌荒れを引き起こす原因

肌や髪の状態は、体の健康だけでなく心のリズムを色濃く反映するといわれています。外側のケアだけで状態が上向かない場合、内側の要因に目を向けることが大切です。
ストレスや疲労による自律神経の乱れ
強いストレスが続くと、自律神経のバランスが変化し、心身が緊張した状態になりやすくなります。ストレスは睡眠にも影響するため、十分に眠れない状態が続けば、肌や体の回復にも影響する可能性があります。
睡眠中には成長ホルモンが分泌され、体の組織の修復や成長に関わっています。そのため、睡眠時間が不足したり、睡眠の質が低下したりすると、肌の状態や体の回復に影響することが考えられます。
また、強いストレスは皮脂の分泌や肌の状態に影響を及ぼすことがあり、ニキビなどの肌トラブルにつながる可能性もあります。抜け毛についても、強いストレスや体調の変化をきっかけに一時的に増えることがあります。こうした変化にはさまざまな原因があるため、ストレスだけで説明できるとは限りません。
鉄分不足が美容と健康に与える影響
鉄は、赤血球に含まれるヘモグロビンの材料となる重要な栄養素です。ヘモグロビンには、肺から取り込んだ酸素を全身へ運ぶ働きがあります。鉄は体内で十分な量を作ることができないため、食事などから摂取する必要があります。
鉄が不足すると、体内の貯蔵鉄が減少し、さらに不足した状態が続くと鉄欠乏性貧血につながることがあります。貧血になると、疲れやすさや息切れ、動悸などの症状が現れる場合があります。
また、鉄はヘモグロビンだけでなく、筋肉中で酸素の貯蔵や運搬に関わるミオグロビンなど、さまざまなタンパク質の構成や働きにも関係しています。鉄不足が肌や髪の状態に影響する可能性も指摘されていますが、美容面への影響については、鉄不足の程度やそのほかの栄養状態なども含めて考える必要があります。
女性が鉄分不足に陥りやすい背景
女性は月経による出血によって鉄を失うため、男性と比べて鉄不足になりやすい傾向があります。特に月経の出血量が多い場合には、体内に蓄えられている鉄が減少し、鉄欠乏につながる可能性があります。
食事量を極端に減らすダイエットや、肉類など鉄を多く含む食品を避ける食生活も、鉄の摂取量が不足する要因の一つです。
妊娠中は、胎児の成長などに伴って鉄の必要量が増えます。さらに、出産時の出血によっても鉄が失われるため、妊娠・出産を通じて鉄不足のリスクが高まることがあります。鉄欠乏や貧血は、産後の心身の状態にも関係する可能性がありますが、産後うつには複数の要因が関係しているため、鉄不足だけが原因とはいえません。
40代以降では、更年期に伴って月経周期や経血量が変化することがあります。子宮筋腫など婦人科系の疾患によって出血量が増える場合もあり、こうした状態が続くと鉄不足や貧血につながる可能性があります。
また、バレーボールやバスケットボール、剣道、長距離走など、強い衝撃や長時間の運動を伴う競技では、女性アスリートの鉄不足が問題になることがあります。運動によって鉄の必要量が増えたり、発汗や消化管からの微量な出血などによって鉄が失われたりすることも、その背景として考えられています。足裏への繰り返しの衝撃によって赤血球が壊れる「溶血」が起こるケースもありますが、スポーツによる鉄不足には複数の要因が関係します。
抜け毛や肌荒れが続くときに気づきたい変化

スキンケアやシャンプーを変えても症状が良くならない場合、心身から発せられるサインが隠れていることがあります。ご自身の状態を優しく振り返ってみましょう。
眠っても疲れが取れない・気分が落ち込みやすい
布団に入っても仕事の不安が頭を巡って熟睡できない、以前なら気にならなかった小さなことでイライラして落ち込むといった症状には注意が必要です。
朝起きたときに体が重くて疲れが全く取れていない、外に出るのがおっくうに感じられるなどの状態が複数当てはまる場合は、心と体が限界を超えているサインかもしれません。
鉄分不足が原因の疲労感・動悸・息切れ
鉄欠乏性貧血が起こると、めまいや失神、慢性的な疲労感、動悸、息切れなどが現れることがあります。顔には多くの血管が集まっているため、ヘモグロビンが減少すると赤みがなくなり、土気色や青白く見えることもあります。
また、体の末端まで酸素が行き届かず爪の細胞がうまく作られないため、爪が薄くなってさじ状に反り返るスプーンネイルになったり、割れやすくなったりします。粘膜の修復が妨げられ口内炎や舌炎を発症しやすくなるケースも存在します。
さらに、無性に氷や生米、歯磨き粉を食べたくなる異食症が現れる人や、夜に手足がむずむずして寝つきが悪くなる睡眠障害を引き起こすことも報告されています。
抜け毛や肌荒れが気になるときに見直したい生活習慣

一時的な不調であれば、日々の生活習慣を見直すことで回復に向かうことがあります。ここでは無理なく取り組める対処法をご紹介します。
まずは休む時間をきちんと確保する
疲れを感じているときは、仕事や家事の優先順位を見直し、休息の時間を確保することが大切です。睡眠時間を確保するほか、入浴や好きな音楽を聴くなど、心身をリラックスさせる時間を持つのもよいでしょう。
入浴する場合は、38~40℃程度の湯に無理のない時間入る方法があります。就寝前の入浴は、入眠を促す方法の一つとして研究されています。ただし、入浴によって肌や頭皮への血流が改善し、抜け毛や肌荒れが治るとまではいえません。
疲れているときほど、「もっと頑張らなければ」と考えてしまうこともあります。まずは十分な休息を取り、自分の体調に合わせて過ごすことを心がけましょう。
毎日の食事で鉄を補う
鉄を補うには、普段の食事から摂取する方法があります。鉄を多く含む食品には、レバー、牛肉や豚肉の赤身、カツオやマグロなどの魚、あさりなどがあります。植物性食品では、小松菜やほうれん草などの野菜、豆類、海藻類などにも含まれています。
食品に含まれる鉄には、主にヘム鉄と非ヘム鉄があります。ヘム鉄は肉や魚などの動物性食品に多く、非ヘム鉄は野菜や豆類などの植物性食品に含まれます。非ヘム鉄は、ビタミンCを含む食品と一緒に摂ることで吸収されやすくなることが知られています。
肉や魚のおかずに野菜を添えたり、食事に果物を加えたりするだけでも、鉄を含む食品を取り入れやすくなります。鉄を含む食品を毎日の食事に無理なく組み込むことから始めてみましょう。
調理器具や便利グッズを活用した鉄分摂取
鉄鍋や鉄製の調理器具を使うことで、調理中に鉄が食品へ移行することがあります。ただし、料理の種類や調理時間などによって移行する量は異なるため、これだけで必要な鉄を補えるとは限りません。
鉄製の調理器具や、料理に入れて使う鉄製品にはさまざまな種類があります。日常の食事に取り入れやすいものを選ぶ方法もありますが、すでに鉄欠乏や貧血がある場合には、調理器具だけで改善しようとせず、医療機関で相談することも大切です。
また、鉄のサプリメントや鉄剤は、鉄不足の程度や原因によって適した量や種類が異なります。自己判断で大量に摂取すると、体調不良につながる可能性もあるため、必要性については医師や薬剤師などに相談すると安心です。
まとめ

抜け毛や肌荒れが続いているときは、スキンケアやヘアケアだけでなく、睡眠や食事、ストレスなど普段の生活にも目を向けてみましょう。心身の状態は肌や髪に影響することがあり、原因は一つとは限りません。
疲れが続いている、眠れない・眠りすぎる、食欲が落ちている、気分が沈んで以前好きだったことにも関心が持てないといった変化が続く場合は、無理をせず医療機関に相談することも大切です。特に症状が長引いている場合や、日常生活に支障が出ている場合は、心療内科や精神科、内科などへの受診を検討してみましょう。
抜け毛や肌荒れの原因を考えるときは、目に見える症状だけで判断せず、最近の体調や生活習慣にも目を向けることが大切です。まずは十分な休息を取り、毎日の食事を整えるところから、無理のない範囲でケアを始めてみてください。

